予定調和のサイバーサイファ@地球

宇宙からの電波を受信中

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時にはおいていかれることも

iPhoneからマリンバの音が鳴り響き、ウトウトとしていたミキはしばらくの間意識を失っていたことに気づく。

友人からの電話だった。

「はい、もしもし」

「オキテル?キョウ14ジニウチデマチアワセダヨ、ハヤクキテヨ」

電話のサチはいつもより声が高く早口だった。

「ごめんごめん、すぐいくね」

「モウショウガナイナア、ハヤクキテネ」

電話を切る。

今日は午後から一緒に買い物に出かける予定だったので準備はしていたのだが、いつのまにか眠ってしまっていたようだ。

午前中には美容院に行ってショートボブにした。髪型を変えるのは久しぶりなので、サチはきっと驚くだろう。

「急がなきゃー」

車のキーとバッグを手に取り、玄関のドアを開け、外に出る。

ゴォオオオオオオオ、ヒュオオオオオ

物々しい風の音にミキは驚いて一瞬固まる。

台風?天気予報で聞いてないよ、・・・おかしいな。

風を受けながら車に乗り込む。

エンジンをかけて車は発進した。

風の音は鳴り止まない。ゴォオオオオ、ヒュオオオと鳴きながら吹いている。

「これ大丈夫なのかな・・・。」

今までにない強風に不安を感じながらサチの家へと向かう。

車の横を野球少年チームらしき集団が走り抜け、追い抜いていく。すごい速さ。

え、うそ。はやくない?

パッパパパパーーーーー!!

車のクラクションが鳴り響く。

ドキッとしてバックミラーを見ると後ろに車。

ミキはアクセルを踏む。スピードを上げる。後ろの車はぴったりとついてくる。

さらにアクセルを踏む。スピードはどんどん上がる。

こわい、スピード出しすぎじゃない?早すぎるよ

後ろの車はまだぴったりとついてくる。

いやだな、ジェットコースターに乗っているような気分。道を譲ったほうが良いかも。

歩道に寄せて車を止める。

後ろの車は抜いていき、物凄い速さで走っていき見えなくなる。

なんであんなに飛ばすんだろ。あぶないなあ。

ミラーを見ると自分の顔色が真っ青なことに気づいた。

手も小刻みに震えている。

落ち着こう。タバコを取り出し火をつける。煙を三度吐き出し、火を消した。

「ふう」

風は相変わらずの強風だ。

天気が気になり、ラジオをつける。

「コクドジュウヤハノレハヲ・・・」

早口で聞き取れない。

「故障?なんなの」

車の前を黒猫が横切っていった。猛スピードで。

「これ・・・おかしいよね」

不自然な状況に囲まれ、不安はどんどん膨れ上がる。

不安と共に冷や汗も出てきた。

こわい、帰らなきゃ

ミキはUターンして家路に向かう。

アクセルを踏むと一気に加速する。景色はどんどん流れていく。

この車故障してるよ!

手が震える。

車の速度メーターを見ると10kmも出ていない。

ミキは震える声でつぶやく。

「わたしが故障してるのかしら」


さわやかな風が吹く、晴れた日の午後。

その日、世界は突然加速し、彼女は取り残された。
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  1. 2012/03/31(土) 16:54:44|
  2. 散文
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2032年、鏡の中の鏡

2011y12m10d_032004376.jpg

ここにある男がいる。

彼は、カプセルの中にいて、脳以外は人間の形をしていない。
脳に直接栄養が送られ、身体感覚などの電気信号も送られている。

その栄養補給及び身体感覚の送られるスイッチとなるものは、彼に送られている感覚像から彼が選び取ったものだ。

感覚像は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、これらの五感の感覚が送られている。

彼に送られる感覚像の物語は、彼の嗜好によってあらかじめ定められている。

彼の選択した振る舞いによってその都度物語は変化するが、あらかじめ定められた物語に収束していくことになる。

彼は人類が蓄積してきたデータと、それを基に作られる物語と共に生きている。

例えば彼のクリスマスの1日の流れをかんたんに挙げてみよう。

彼は目覚ましの音と共に目が覚め、今日は仕事であると認識する。そして準備をして仕事に出かける。仕事は営業を担当しているが、彼に向いていると自覚しており、仕事の成績も良い。自分が売り込む商材についても自信を持って営業活動できるという恵まれた会社に勤めており、彼は結果がついてくる仕事が楽しく、充実した日々を送っている。仕事に対してほぼストレスは無い。営業中に出会った取引先の社員の女性と知り合い、恋仲になり、休憩中に連絡をとるなどしている。朝食はパンとミルクで簡単に済ませ、昼はそばを食べた。夕食は恋人の女性とワインを飲み、イタリアンを食べる。そして自宅に二人で帰宅し、共通の話題を楽しみながら寄り添いあいセックスをし、明日の休日にどこに行くかを話しながら眠る。

このような平和な日々を送っている。

これは私たちが求めすぎた答えだ。

彼に限らず、ここにはたくさんの脳がある。

そして彼らの中には感覚像の中の生き物を無駄に殺害しつづけているものもいるし、地球を離れて旅を続けているものもいる。

彼らは幸福に満たされている。

彼らを紹介する私も幸せに暮らしている。

そして私も彼らと同じではないと断言できない。
  1. 2011/12/10(土) 03:22:41|
  2. 散文
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淡い幻想は滲む

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  1. 2011/12/07(水) 16:11:57|
  2. Drawing
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ファンタジーの始まりは突然

朝、空気が冷たい。今日はいつもより冷えている。カーテンの隙間から差し込む日差しが透明感をもって私を起こしてくれた。

時計を見る。まだ少し早い。休日だが予定はある。布団から抜け出す。ミルクをマグカップに注ぎ、電子レンジで温める。TVを点けるとアナウンサーが冬の到来を告げる。

目が覚める前の夢のことについて考えていた。
彼はコロニーに住んでいて、エンジニア兼ドライバーだった。マシンレースの。
規格が決められており、簡易な整備で走ることの出来るスペースカー。原動力は感情エネルギー。エモスペーサーと呼ばれている。感情のエネルギーを原動力として変換する事が可能になり、個々の人間のエモーショナルな面においての価値が急激に上昇した。その事によって社会からの激情に対する抑制が解放され、感情的であることが許容される時代となった。激情を持つ人間は大きなエネルギーを生成し、有益に社会に還元されている。地球から離れた彼らは、独自の文明を築き上げている。現在、地球の住人には一部の権力者にしか存在が知らされていない。彼らは紀元前からすでに地球を離れていたのだ。しかし、最近になって彼らは地球の住民との接触を図るため、政府に対し使者を送り会合の場を設けていた。あと数日で合意の上での地球住人に対する周知が行われる予定だ。

その日に向けて彼はエモスペーサーを操り、地球に向かって飛んでいる。
そんな夢だった。

温めたミルクを飲みながら、窓から空を見上げる。晴れている。
青い空に大きく真っ白な入道雲がかかっている。
あの雲の間から、レースマシンが飛んできて、私をどこかに連れて行ってくれないだろうか。
TVが速報を告げる。画面が切り替わる。記者会見だ。国の正式発表。内閣総理大臣直々の。なんだろう。

「国民の皆様にお伝えすべきことがあります。地球外生命体との接触が確認されました。正確に言えば、私たちと同じ祖先を持つ、人間です。彼らは紀元前に地球を離れた高度な文明を持っています。彼らは私たちに友好関係を求め、交易する事を望んでいます。私たちよりも非常に高度な文明を持っており、彼らとの交易は、我々をより高度な文明社会へと導くでしょう。今後、飛躍的な科学技術の向上と共に、生活レベルの向上が期待されます。彼らはすでに人間の寿命までの資源を自給自足できる技術を確立しており、その技術の提供を申し出ております。生活不安が消え、より豊かに人生を営めるようになるという大きな夢が今実現しようとしています。今後、慎重に協議を重ね、技術輸入の実施を行うために国際的に委員会が組織され――――――。」

「うそ、うそだ。ほんと?ほんとに?」
思わず口に出てしまった。しかし、総理大臣は話し続ける。チャンネルを変えても同じ記者会見が映し出されている。手元のスマートフォンを手に取りTwitterを思わずのぞく。地球外生命体との接触の話題でいっぱいだ。

「国を挙げた壮大な釣りだろ」
「宇宙人とギシアンできる時代キター!」
「信じられない。こんな時代が来るなんて」
「フォース使えんじゃね?あいつら」
「ただただ唖然としてるんだけど」
「どこの夢物語だよバーロー!」

私はミルクを一気に飲み干し、窓を開け、空を見上げる。
あの夢の続き、夢の続きが現実のものとなっている。
ほっぺたをつねる。痛い。痛いよ。起きてる。目は覚めてるし、TVからは今もその話題。

雲の隙間から何かが飛んでくる。物体。UFO。出た。すごい勢い。
こっちに向かってくる。すごいスピードで。速い。どんどん大きくなる。
こっちに向かってくる。赤色。車みたい。レースマシンみたい。
フォーン、ブオンビュオン。通り過ぎた。すごい速さ。一瞬。乗ってる人見えた。
夢に出てきた彼。


絶句。
  1. 2011/11/27(日) 00:10:38|
  2. 散文
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2020年、11月15日、日曜日

2011y11m20d_212424449.jpg

今日はスーパーに行って食料を買い込んできた。ほぼ一週間分。外出することはあまり無い。自宅で事足りるからだ。友人と会うことも少ない。

連絡はメールやSkypeで頻繁にしているが、近況などはSNSやブログで知ることが出来る。
自宅に帰るとPCの電源を入れる。TVも兼ねており、ウィンドウは6つある。このウィンドウは空間に浮き出てくるウィンドウで、指に一つタッチリングを装着していれば、画面上で操作ができる。静電気を利用した技術だ。部屋中に現れるウィンドウの電子情報は人体には影響が無いとされている。だから普段はいつも電源はONにしてある。
仕事もこのシステムを利用して行っている。役所などの形式的な都合で外出することもあるが、ほぼテレビ電話で打ち合わせ等は終わってしまう。

これらのシステムが普及してから、人は外出することが少なくなり、蜂の巣のような建物の部屋の中であらゆる情報を消費し、通信することが可能になった。おかげで街に人込みが現れる場所が数えるくらいになってしまった。アナログ的な直接対話は家族間で行うくらいで、教育の現場も次第に通信によって行われるようになってきた。その弊害として、地域社会での人の繋がりがさらに薄れていっている。私も近所の住民とは直接会う事はほとんどない。町内会の会合も行われているが、老人も多いため、会議通話通信によって行われる。一年に一回の町内会の祭りで近所の住民と直接顔を合わせるくらいだ。

通信のしやすさが向上し、情報を共有しやすいようにはなったが、これらにも弊害はある。コミュニティの中でも分化が起き、少数の共通理解を持つものとしかコミュニケーションを行わない人たちが増えてきた。私もその一人だ。同じ趣味でも、ジャンルによって大きく嗜好が異なる。それらの共通の趣味嗜好を持つ者たちはコミュニティを形成するが、濃密なコミュニケーションは物理的な距離によって阻まれている。

他のコミュニティの者達とは会話が成り立たなくなるが、会話を楽しめるコミュニティに属するものは、遠く離れた場所にいる。その快適な環境を求める欲望が、コミュニケーションのデジタル化を起こしてしまった。皮肉なものだが、それに救われている面も多いのは確かだ。

生活基盤が整ってしまった今、私達は共通の嗜好の楽しみを共有することでしか、目的を見出すことが難しい。
  1. 2011/11/18(金) 20:43:45|
  2. 散文
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